■ 潅水初心者(水を与える) (β版)
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 潅水初心者(水を与える)
「潅水」は、「かんすい」と読みます。 水を撒く。水遣り。とも言います。
園芸で、最も難しい作業のひとつでしょう。
「水遣り3年」という言葉があるそうですが、園芸をはじめて5年目の今、『3年くらいじゃ分からなかった』としか分かっていません。

山の木々には誰も潅水作業をしていません。 何か良い手抜き方法が無いかと模索しています。

以前に水質について、「水道水と雨水、地下水の違い」という感じの面白い記事を新聞か何かで見たことがあります。 とある野菜生産者の方によると、水道水より地下水、地下水より雨水の方が野菜の発育が良いそうです。

他にも「稲作はなぜ、連作障害が起こらないのか?」という感じの面白い記事をウェブで見たことがあります。
確かに、イネ科の植物は、連作障害を起こす植物のようです。
田んぼのメカニズム(くぼたのたんぼ) にて、詳しく紹介されています。





 水を撒く
お酒と同じで飲むペースもあるでしょうし、勧め上手、ヘタということもあります。 飲みたい日もあれば飲みたくない日もあるでしょう。
赤ちゃんもミルクを機嫌よく飲んでくれるときと、飲んでくれないときがあります。 飲みたい時もあれば飲みたくない時もあるのでしょう。
本来なら、木々が欲するときに水をやり、水を必要としていないときには水を与えない方が良いのかもしれません。
しかし各苗によっても違いますし、そもそも、そのような判別も出来ません。

水を撒く時に気をつけたいことはいろいろありますが、ついつい面倒なので水道につないだ散水ノズル(シャワー)で勢いよく短時間に撒いてしまいます。
ソフトに水が当たるように上向きに水を出せばよいのでしょうが時間がかかります。 その割りに用土には染み込んでいないようです。
鉢底から勢い良く水が出ていても、用土が十分に潤い訳ではないようです。
(以前に透明の容器を鉢にして実験していました。 水は用土の隙間を通り、用土全体は湿りません。)

水道の水には、カルキなどの薬品が含まれます。せめて、1日置き水をすれば違うのでしょうが、量が多いと間に合いません。 水温にも気を使いたいところです。 塩素にはビタミンCが良いそうです。 我が家では以前に庭にあるハナユズの実を入れていました。 効果は全く分かりませんでした。

初心者の私には、ドブ漬けが良いようです。 ドブ漬けとは、バケツに張った水に植木鉢ごと1分ほど漬けること。 必ず水が行き渡ります。 それ位の時間であれば植木は窒息しないようです。





 腰水
「腰水」という方法があります。
簡単に言うと、水を張った容器に植木鉢を浅くつけておく方法です。
ハナショウブなど、水切れ厳禁の栽培などに用いられる方法です。
我が家では、園芸店でトレーを貰い、ブルーシートを切り受け皿を作っています。
上手く組み合わせ、水位を調整できるでしょう。
夏場など大変重宝します。 しかし、この方法にも欠点はあります。

1:油断してしまい、結局水切れにしてしまう。
2:何故か底のブルーシートがずれるのか、水漏れ状態になることがある。
3:夏場、溜まり水に蚊が産卵し繁殖の温床になりかねない。(たまにトレーを替え、日に干す)
4:夏場、水温が上昇してしまい、腰水が腰湯状態になる。
5:液体肥料などを使用すると、溜まり水に藻が繁殖する。
6:下に水はあっても、地上部が乾燥するのか、枯れてしまうことがある。(原因は他にあるのかも)
7:植木鉢からもれる細かいで、トレーの水が汚れ、土が溜まる。
8:水がいつでも供給できるので、根の発育が悪くなる。

たまにトレーを替え、洗ったり日に干すなどの対処が必要です。



時間を掛けて少しずつ潅水されます。


 原始的自動潅水装置
お金があれば、自動潅水装置とやらを導入しても良いのでしょうが、まだまだその域に達していません。
恐らく導入しても、上手くコントロールできずに持て余すことでしょう。

テツカエデなど、沢に生息する樹木のために、夏場だけの原始的な自動潅水装置を考えてみました。 電気も使わず、移動などの変更にも対応できそうです。

縁台とバケツとタオルを使用し、バケツに水をため、タオルを垂らします。
毛細管現象と水同士の引っ張り合う特性を利用していたように思います。
常時ポタポタと水が落ちますので良い感じですが、意外と水の減りが早いように感じます。
また、水温上昇であったり、使用しているタオルがヌルッとしてきますので、衛生上に問題がありそうです。 今後の課題です。





 潅水の時間帯
潅水はどの時間帯に行うべきなのでしょう?
カエデを見るために、年に数回ですが、春から秋にかけて自生地である山に登ります。
日没から気温が急に下がります。 暗いのではっきりとは分かりませんが、深夜には霧が発生し視界が真っ白に。 早朝地面が濡れている。
道路上などは午前中には蒸発するようです。 早朝はそのためか周囲は冷えていました(放射冷却?)。
園芸書では、朝早くせめて午前中に潅水しましょうとありますが、住宅地の場合は、早い時間帯に温度を下げるためにも夜寝る前に撒くことが望ましいようにも思えます。

熱帯地帯の樹木の場合は、夕方などにスコールが降ります。 定期的に決まった時間にスコールが降るところもあります。
育てる樹木・草木の自生地に合わせてあげることも必要なのでしょう。
日本では、夏場には夕立があります。 本当に昼間に水をやるのはいけない事なのでしょうか?





 根腐れ
「根腐れ」という現象で、植木が枯れてしまうことがあります。

よく、水のやりすぎという方がいますが、そうなのでしょうか?
京都のお寺の池のほとりにある植木なんかは、恐らく根は常時水に触れていますし、水耕栽培もあります。
恐らくですが、根が傷んでいる状態(植え替えや水切れ後)に水を与えすぎ細菌が繁殖してしまう状態だと考えています。
原因は分かりませんが、まずは水切れさせないように、しっかりあげたいものです。






 麻布で蒸発を防ぐ?
庭にハナユズを植えるときに、果樹園の方にアドバイス頂いたときのお話です
「ハナユズを植えたら、水切れ対策のために、用土の入っていたビニールでいいので、根元に敷いて置いてください。」
そのハナユズは、今年も実をたくさんつけくれました。
そう言えば、新しい街路樹でもアスファルトに覆われ、雨水が染み込むスペースも小さいのに、水切れを起こさないものが多いように思います。
アスファルトによって、水分を閉じ込めているのかも知れません。

そのアイデアを鉢植えの1.5m程度のクスノハカエデで利用してみました。
不要な麻布(30cm×90cmくらい)があったので、くしゃくしゃの状態で根元に敷いてみました。
結果としては、地表と麻布に隙間があり空気層が出来たのか、それとも空気層がないほうが良いのかはわかりませんが、用土の乾きが緩やかな感じを受けました。
麻布自体が水分を含んでいる為かもしれませんが、効果があったように感じました。 虫の混入も心配しましたが、今のところは被害はありません。





 遮光・寒冷紗・すだれ
「遮光」とは、文字通り日光を遮ることです。 一般的には寒冷紗やすだれ、ヨシズなどが用いられます。

真夏、人間も発汗し水分で喉を潤すように、樹木も葉から水分の蒸散されます。
そのため水遣りが大変なのが、5月から11月の間でしょう。 特に7月から9月が水切れの状態にしてしまいがちです。
日当たりの良い場所では、日差しの強さや日照量のコントロールすることも必要です。
自生地での苗を見ていると周囲の葉が茂り自然に日陰になるような場所で生息していることが多く、直射日光にさらさないほうが望ましいようです。
植物によって必要とする日射量の差があります。 それらを考慮し再現するためにも人工的に影を作ります。
遮光の効率によって、水遣り(潅水)の頻度や方法にも変化が出るかもしれません。





 輻射熱、放射熱
「輻射熱」とは、周囲の気温などの温度(熱)により影響を受けることです。
「放射熱」とは、水分の蒸発により帯びている熱が奪われることです。
と勝手に定義します。 園芸の場合は、
自然界では、土などの熱エネルギーを蓄積しにくいものに囲まれているが、園芸では、コンクリートやアスファルト、エアコンの排出熱、その他人工物などに蓄積された熱に囲まれてしまうことになります。
それら物質の熱の影響を受けたり、熱が放射する際に発生する水蒸気により、やけどを負ってしまう状態に陥りやすい。 そのため、周囲を冷やすために水を撒くのも考え物です。 恐らく昼間に潅水を行わないのはこのためではないかと推測します。
敷きワラなども効果があるようです。

苗の近くには、熱を帯びにくいもので囲むことも有効のようです。
その他、住宅の外壁や窓などに日光が反射して、温度が上昇することもあります。





 目標!?
小さな鉢植えで、メンテナンスフリーで水切れも起こさない栽培。 もちろん動力も使わずに。 そんな栽培法を模索しています。
それはまるで、「星の王子様」に登場するバオバブの樹のように。
星よりも大きなバオバブの自生、私の場合は人の介入なしに育つ鉢植え。


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